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【事件名】清原和博選手の名誉毀損事件 【年月日】平成13年3月27日 東京地裁 平成12年(ワ)第5109号 謝罪広告等請求事件 判決 原告 清原和博 同 訴訟代理人弁護士 山川洋一郎 同 訴訟復代理人弁護士 一井泰淳 被告 株式会社小学館 同 代表者代表取締役 相賀昌弘 同 訴訟代理人弁護士 原秀男 同 竹下正巳 同 山本博毅 主文 一 被告は、原告に対し、一〇〇〇万円及びこれに対する平成一二年三月一八日から支払済みまで年五分の割合による金員を支え。 二 被告は、原告に対し、別紙一記載の謝罪広告を別紙二記載掲載要領により被告の発行する週刊ポストに一回掲載せよ。 三 原告のその余の請求を棄却する。 四 訴訟費用は、これ三分し、その二を原告の負担とし、その余を被告の負担とする。 五 この判決は、第一項に限り、仮に執行することができる。 事実及び理由 第一 請求 一 被告は、原告に対し、別紙三記載の謝罪広告を別紙四記載の掲載要領により読売新聞(全国版)の朝刊社会面及び被告の発行する週刊ポストの記事面に各一回掲載せよ。 二 被告は、原告に対し、五〇〇〇万円及びこれに対する平成一二年三月一八日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。 三 第二項につき仮執行宣言 第二 事案の概要 本件は、著名なプロ野球選手である原告が、被告が発行した週刊誌の記事によって名誉を毀損されたと主張して、被告に対し、謝罪広告の掲載及び損害賠償の支払を求めた事案である。 一 争いのない事実等(証拠を掲記した事実以外は争いがない。) (1)当事者 ア 原告は、昭和六一年に西武ライオンズに入団し、平成八年から東京読売巨人軍に所属している著名なプロ野球選手である。 イ 被告は、雑誌及び書籍の出版等を目的とする株式会社であり、週刊ポストを発行している。 ウ 原告は、平成一二年一月六日(日本時間)に渡米して、翌日から、シアトルにおいて、トレーナーであるケビン・ヤマザキの指導による自主トレ−ニングを行った。 (2)被告による本件記事の掲載 ア 平成一二年一月二四日発売の週刊ポスト二〇〇〇年二月四日号の四〇頁ないし四三頁に、「やっばり!“虎の穴”自主トレ清原が『金髪ストリップ通い』目撃!」、「スクープ[米・シアトル発]」「とうとうトレーナーもサジを投げた」との見出しの記事(以下「本件記事」という。)が掲載された。 イ 本件記事には、別紙五@ないしBの記載がある(以下「前記見出し部分及び別紙五の@ないしBを総称して「本件記事部分」といい、別紙五の@ないしBを個別に示す場合は「@部分」のようにいう。)。 ウ また、被告は、平成一二年一月二四日付読売新聞、朝日新聞及び毎日新聞(いずれも全国版)の各朝刊に、前記週刊ポスト二〇〇〇年二月四日号の広告(以下「本件広告」という。)を掲載させた。 本件広告には、いずれも「やっばり!“虎の穴”自主トレ清原が『金髪ストリップ通い』目撃」との記載がある。 二 争点 (1)本件記事部分は原告の名誉を毀損するか否かについて(争点1) (原告の主張) ア @部分について @部分には、「一日の総トレーニング時間はたったの二時間。(中略)当初、三週間で一九・二%の体脂肪を一五%まで落とす計画を立てていたが、その現実はのっけから挫折していたのだった。」と、まず原告のトレーニング内容について記述し、次に原告の体力測定の結果を説明してから、「清原は本当にプロ選手かと疑いたくなるほどだ。トレーニングの基礎的なことも知らな過ぎる。」との、トレーニングに関するケビン・ヤマザキのコメント形式による記述がある。 しかし、@部分では、体力測定とトレーニングとを区別した記述がなされておらず、一般の読者も、トレーニングと体力測定をはっきりと区別しないで体力測定もトレーニングの一部と考えるのが通常であることから、@部分は、読者に、原告のトレーニングメニューは決して厳しいものではないのに、原告は体力がないためにこれをこなせなかったとの事実を認識させるものである。 イ A及びB部分について 本件記事のリード部分には、「シアトルでは『地獄のトレーニング』に励んでいる……はずだった。だが、清原はなんにも変わっていなかった。」との記述があるところ、A部分には、「当初はきちんとケビン氏の通達、トレーニング・メニューをこなしていた清原だが、早くも五日目に禁を敗(原文のとおり)って外出、ビールを飲んでしまったのは前号で報じた通り。だが、この日はビール一杯。まだまだ今季復活にかける意気込みは残っていたのだが……。」、「トレーニング・メニューそっちのけで、ジムのマットの上で関節技のかけあいを始めるなど、いきなりお遊びモードに。」との各記述があり、B部分には、「清原は、まるで堰を切ったように二日に一度はストリップバーに繰り出してドンチャン騒ぎ。」、「かくして、肉体改造は早々に頓挫。このぶんでは今季もやはり清原は不安一杯といえそうで、G(ジャイアンツ)党にとっては許しがたい行伏だろうが」との各記述があることからすると、A及びB部分は、読者に、原告が「地獄のトレーニング」と一部で称されていたような厳しいトレーニングに励んだ事実はなく、肉体改造は早々に失敗したこと、その根拠として、原告がトレーナーの指示に反して外出・飲酒をしたこと、トレーニングの中に、K1(パンチやキックで互いに相手を攻撃し合う格闘技スポーツの一つ)選手であるV(以下「V」という。)と関節技を掛け合うなど、トレーニングを真剣に行わなかったこと、そして、原告のトレーニングへの取り組み方が真剣味に欠けていることの最大の根拠として、原告が、Vらに誘われて二日に一度はストリップバーに繰り出しドンチャン騒ぎをしたとの事実を認識させ、読者に、原告がシアトルのトレーニングを遊び半分の真剣味のない態度で過ごしたとの印象を与えるものである。 ウ 結論 (ア)本件記事部分は、その見出し、上記ア及びイで指摘した本文の内容により、読者に、原告がシアトルで行ったトレーニングについて、トレーニングメニューは厳しくないのに、原告は体力がないためにきちんとこなせず、しかも原告は、真剣味のない態度でトレーニングに取り組んでいたとの事実、その最大の根拠として、原告が、二日に一度はストリップバーに通っていたとの事実を認識させるものである。 (イ)また、本件広告も、原告が、シア卜ルでの自主トレーニング中に、ストリップバーに通っていたとの事実を認識させるものである。 (ウ)一般に、プロスポーツ選手の場合、シーズン中の好成績や活躍の基礎となるトレーニングをどのような態度で取り組むかは、選手の評価に関わるものである。 特に、原告は人気野球団に所属する主力選手であるうえ、本件記事が掲載されたのは、原告が、平成一二年シーズンでの復活を期して、シアトルで厳しい自主トレーニングをこなしていた時期であったから、トレーニングへの取り組み方は、選手としての評価に影響するものであった。 (エ)したがって、原告が厳しくもない卜レーニングもこなせず、トレーニングに真剣に取り組まずに遊び半分に過ごしていたとの印象を読者に与える本件記事部分及び本件広告が、原告の社会的評価を低下させ、原告の名誉を毀損することは明らかである。 (被告の主張) ア @部分について @部分は、原告のトレーニングメニューは、報道されている程厳しいものではない、その理由は、原告に体力がなかったからであると記述したものであり、読者は、原告のトレーニングメニューが軽いのは、体力測定の結果、トレーナーであるケビン・ヤマザキが、原告には体力がないと判断したからだと認識するにとどまる。 通常、体力測定とトレーニングとは別物と考えられているし、本件記事にも、体力測定をトレーニングとして行ったとの記載はないことから、@部分が、原告が主張するように、読者に、ケビン・ヤマザキの決めた原告のトレーニングメニューは厳しくないのに、原告がそれさえこなせなかったとの事実を認識させることはない。 イ A部分について A部分は、原告が、トレーニング期間中に、Vと偶然に合流したときのことを記しただけである。読者に対し、原告のトレーニングが継続的に遊び半分になってしまったとの印象を与える記述ではない。 また、「まだまだ今季復活にかける意気込みは残っていたのだが……」との記載も、原告が、真剣味のない態度でトレーニング期間を過ごしたということの印象を与えるものではない。 そのことは、本件記事には、原告がVと会って、「遊びモード」になったが、「さすがにストリップにはなかなか首を縦に振らなかった。」との記述があることからも明らかである。 さらに、B部分の、「かくして、肉体改造は早々に頓挫。」との記述も、原告の肉体改造がうまくいかないとの趣旨であるとはいえるが、A及びB部分に、原告がトレーニングをいい加減に行っていたかについて具体的な事実を示した記載はないから、読者が、原告の肉体改造失敗の原因について、原告がトレーニングを真剣味のない態度で過ごしていたからであると認識することはない。 ウ B部分について B部分には、ストリップバーに通うことにより原告のトレーニングがどのような悪影響を受けたかなど、トレーニングに関する内容は全く掲載していない上、すでにB部分に至るまでの記述によって、原告のトレーニングの実態がいかなるものか明らかにされている。 したがって、読者は、原告がストリップバーに頻繁に通っていたという事実を、原告がトレーニングに対し真剣味がないことの例として認識することはない。 エ 結論 (ア)本件記事部分は、原告のプロ野球選手としての名誉を毀損するものでなく、読者に、体力測定の結果、原告の体力が十分でないことが判明し、そのためケビン・ヤマザキが軽いトレーニングメニューを組んだために、原告が当初計画していた肉体改造に失敗したことと、原告がストリップバーに行って遊んだとの事実を認識させるにとどまるものである(なお、原告は、ストリップバーに行った事実の報道だけで、原告の名誉が毀損されたとは主張していない。)。 そして、上記と同様の理由から、本件広告も、原告の名誉を毀損するものではない。 (イ)また、仮に、本件記事部分が、原告主張の内容として読者に認識されるとしても、自主トレーニングについての報道によって原告のプロ野球選手としての社会的評価を低下させることはありえない。 なぜなら、プロ野球選手としての社会的評価は、トレーニングの難易や、トレーニングに取り組む姿勢ではなく、専ら公式戦での成績、活躍ぶりによって決まるものだからである。 (ウ)そのうえ、原告は、元来、天才肌の豪快な選手として評価されており、こつこつとトレーニングを積み重ねて技を磨く選手であるとは認識されていない。したがって、原告のトレーニングへの取り組みが真剣味に欠けるとの報道により、プロ野球選手である原告の社会的評価が低下することはない。 (エ)さらに、原告は、自ら認めるように、平成一一年の公式戦では好成績を残すことができず、本件記事が掲載された当時、一般に東京読売巨人軍が優勝を逸したことについての「A級戦犯」と認識されていたことから、本件記事部分が、原告の社会的評価を低下させた事実はない。 (2)本件記事部分について、真実性の証明あるいは真実であると信じたことについて相当の理由があるか否かについて(争点2) (被告の主張) 本件記事部分は、週刊ポストの編集者X(以下「X」という。)の指示に基づいて、記者のY(以下「Y記者」という。)が、原告のシアトルでの様子を身近に見ていたシアトル在住の日本人(以下「A」という。)、同じく格闘技関係者の米国人(以下「B」という。)及び原告のトレーナーであるケビン・ヤマザキに電話等で直接取材を行った結果に基づき、Xが作成した。 Y記者は、平成五年から平成八年までの間、オレゴン大学ジャーナリズム学部で学ぶ傍ら、大学のレスリング部に所属していたので、原告が出入りするトレーニングセンターの利用者等に知人が多く、A及びBとは知り合いであった。 また、Y記者は、原告の専属トレーナーであるケビン・ヤマザキとは、大学在学中の平成七年にワシントン大学でのレスリングの試合会場で会った際に、日本人同士ということで知り合って以来の知人である。 上記取材の経緯に鑑みれば、本件記事部分の内容は真実であるか、仮に真実ではなかったとしても、編集者が本件記事部分の内容を真実と信じたことに相当の理由がある。 (原告の主張) ア 本件記事部分の真実性について (ア)@部分について ケビン・ヤマザキが、Y記者に対して、@部分の内容に沿う発言をした事実はない。 そもそも、原告が、一・五キロメートルのタイムトライアル、懸垂、背筋測定を行ったとの事実はない。これらは、体力測定の種目として予定されていなかったし、トレーニングメニューにも入っていなかった。 また、原告がべンチプレスをしたことは事実である(原告は、ケビン・ヤマザキのアシストの下で、六〇キログラムから始め、一〇〇キログラムまで行った。)が、ベンチプレスでは、最初は軽量のものから始めること、危険防止のために、トレーナーがそばで補助することは当然である。 原告は、トレーナーであるケビン・ヤマザキの指導により、同人が作成したトレーニングメニューに従ったトレーニングを行った。 原告は、午前九時から午前一一時半ころまでは、ワシントン・インスティテュート・オブ・メディシンという名称のクリニックにおいて、スーパー・トレッド・ミルと呼ばれるべルト上のランニングを中心とする心肺機能トレーニングを行った。 昼食後は、アイアン・ワークスという名称のウエートトレーニングジムに移動して、午後一時半ころから午後三時ころまでウエートトレーニングを行った。 その後、軽食をとり、夕方、バッティングセンターに行って、一時間あまりバッティング練習をした後に、ホテルに戻り、夕食をとるというのが、平均的な一日のスケジュールであった。 (イ)A部分について 原告がケビン・ヤマザキの指導によりトレーニングを受けていたジムに、ほぼ同時期にV及びW(以下「W」という。)がトレーニングに来ていたことを除いては全て虚偽である。 Vは、原告と同様に、午前中は、ワシントン・インスティテュート・オブ・スポーツ・メディシンで、午後は、アイアン・ワークスにおいて、トレ−ニングをしていた。しかし、Vは、ケビン・ヤマザキ以外のトレーナーの下で、原告とは異なるメニューをこなしており、トレーニングの場所も別であった。 アイアン・ワークスでのトレーニング後は、Vは、モーリス・スミスの主宰するモーリス・スミス・キックボクシング・センターに移り、そこでトレーニングを行っており、原告とVとは、全く別にトレーニングをしていた。したがって、原告が、トレーニング中にV氏と格闘技に属する行為をしたことは一切ない。 もっとも、原告は、トレーニング終了後に、Vがトレーニングをしているモーリス・スミスのジムを見学したことがある。 その際、Vに技のかけ方を示してもらったほか、プロの格闘家のキックがどの程度強力なものか、Vに、キックのデモンストレーションをしてもらった。 しかし、原告は、モーリス・スミスのジムでトレーニングをしていた訳ではないから、自分のトレーニングメニューそっちのけで、ジムのマットの上で関節技のかけあいを始めた等の事実はない。 (ウ)B部分について 原告が、シアトルでストリップバーに行った事実はなく、B部分の記事の内容は全て虚偽である。トレーニングに明け暮れていた原告が、そのようなことをすることはあり得ない。 (エ)本件記事部分全体について (ア)ないし(ウ)のとおり、本件記事部分の内容は、その重要部分において真実でない。 イ 本件記事部分の内容が真実であると信じたことについて相当の理由があるか否かについて Y記者が、ケビン・ヤマザキに対し、電話等で取材をした事実はない。 ケビン・ヤマザキは、原告のトレーニング期間中に多数の記者から電話で取材を受けたが、Yという名前は知らないし、本件記事部分にあるような内容の話をした事実はないと供述している。 また、A及びBは匿名であり、実在するのかさえ明らかではないから、Y記者が実際に彼らに対する取材を行い、本件記事部分にあるような供述をしたとは考えられない。 さらに、Y記者は、原告本人に対する取材を一切行っていない。 以上によれば、本件記事部分の内容を真実と信じるべき相当の理由があるとはいえない。 (3)損害額、謝罪広告の要否について(争点3) (原告の主張) 被告は、その従業員である編集責任者Zが、週刊ポストを編集するについて第三者に与えた損害を賠償すべき責任を負うから、同人が本件記事部分及びその広告によって原告に与えた損害を賠償する責任を負う。 そして、本件記事部分は、極めて杜撰な取材活動に基づき虚偽の事実を羅列したものであり、行為態様が悪質であるうえ、週刊ポストの読者のみならず、読売、朝日、毎日新聞など全国紙に掲載された本件広告によって本件記事部分の概要が世間に周知された結果、原告は多数のファンの信頼を失い、多大な精神的苦痛を被った。 そこで、本件不法行為によって原告が受けた精神的苦痛に対する慰藉料は五〇〇〇万円が相当であり、さらに名誉回復のための措置として謝罪広告を掲載させる必要がある。 (被告の主張) 本件訴訟に関しては、多数のマスメディアによって、原告本人尋問の経緯などについて概ね原告に好意的な報道がなされている。それゆえ、仮に本件記事部分によって原告の社会的評価が低下したとしても、一連の裁判報道によって既に名誉は回復されている。 したがって、原告の慰藉料及び謝罪広告の請求は、いずれも理由がない。 第三 争点に対する判断 一 争点1について (1)ある記事の意味内容が他人の社会的評価を低下させるものであるかどうかは、当該記事についての一般読者の普通の注意と読み方を基準として判断すべきである。 そこで、以下にこの基準を前提として本件記事部分が原告の名誉を毀損するか否かを判断する。 (2)@部分について 前記争いのない事実等で述べたとおり、@部分には、「ケビン氏がつくった清原のトレーニングメニューは非常に厳しいものだと報じられているが、実は、そんなたいそうなものではない。「ケビン氏が、『この体ではいきなりきついトレーニングは無理』と判断したためなのである。」、「当初、三週間で一九・二%の体脂肪を一五%まで落とす計画を立てていたが、その現実はのっけから挫折していたのだった。」との各記述がある。 また、@部分の後半には、原告の体力測定の結果と、「清原の数値は大学の体育学部の学生より大幅に劣る。」との記述、ケビン・ヤマザキのコメント形式で、「柔軟性もなく筋力もない。この体で、よくプロ選手として一〇年以上も第一線でやってこれたものだ」、「清原は本当にプロ選手かと疑いたくなるほどだ。トレーニングの基礎的なことも知らな過ぎる。本音をいうとサジを投げたよ。」との各記述があり、本件記事のリード部分に、「シアトルでは『地獄の卜レーニング』に励んでいる……はずだった。」との記述があることも考慮すると、@部分は、読者に、原告の体力が、プロスポーツ選手とは考えられないほど劣っていたため、トレーナーのケビン・ヤマザキが、原告は厳しいトレーニングメニューには耐えられないと判断して、軽いトレーニングメニューを組んだとの事実、そのため、厳しいトレーニングにより短時間で体脂肪を大幅に落とすという当初の計画は、最初から挫折していたとの事実を認識させるということができる。 (3)A部分について A部分は、原告が、早くもトレーニング開始後五日目にして、トレーニング期間中の禁酒の指示を破ってビールを一杯飲んだこと、K1選手のVがトレーニングに合流するや否や、原告はVと意気投合し、本来のトレーニングそっちのけで、ジムのマット上で関節技を掛け合うなど、遊び半分の態度になったこと、それを見ていたモーリス・スミスの提案で、原告はパンチやキックによるトレーニング方法に改めたが、体力が続かず、わずか一ラウンド分で息を切らしてしまったことが記述されている。 @部分の記載も併せて考慮すると、A部分は、読者に、原告が大したことのない卜レーニングでさえ、トレーナーの決めたルールに違反したり、トレーニング中に気の合う仲間と関節技を掛け合うなど、真剣味のない態度でトレーニングをしていたとの事実を認識させるということができる。 (4)B部分について B部分は、読者に、原告が、Vらに誘われてストリップバーに行き、トレーニング期間中禁止されていたはずの煙草を吸い、高額のチップを支払って白人ダンサーを相手に遊びに興じ、その後二日に一度はストリップバーに行っては、白人ダンサーを相手にドンチャン騒ぎをしていたとの事実を認識させるものである。 原告が、トレーナーの指示を破って飲酒、喫煙に及び、ストリップバーに通っていたとの事実は、それが科学的にみてトレーニングに悪影響を与えるか否かとは関係なく、いずれも、読者に、原告のトレーニングに対する真剣味のなさを象徴する出来事であるとの印象を与えるものである。 また、B部分が、原告のストリップバー通いの事実を記述した後−かくして、肉体改造は早々に挫折。」と記述されていることから、読者は、原告がストリップバーに通っていたことが肉体改造の失敗を象徴する出来事であると認識するということができる。 (5)本件記事全体について ア 以上のほか、本件記事の前記見出しの内容も考慮すると、本件記事部分は、読者に対し、原告は、平成一二年シーズンでの復活を期してシアトルで厳しい自主卜レーニングを積んでいると報道されているが、実際は、原告の体力がないために、肉体改造に必要な厳しいトレーニングをこなすことができず、大したことのない軽い内容のトレーニングであって、原告は、そのようなトレーニングでさえも、遊び半分の真剣味のない態度で取り組み、トレーニング時間外でも、トレーナーとの約束を破って飲酒、喫煙に及び、それどころか、ストリップバーに頻繁に出入りして派手に遊んでおり、これらのことから、原告の肉体改造計画は挫折したとの事実を認識させるものということができる。 一般に、プロスポーツ選手は、社会から、スポーツマンの模範としての行動が期待されており、試合で活躍を遂げ、好成績を収めるために、日々トレーニングに励み、身体能力の向上に努めているものと認識されているから、トレーニングに熱心であるか否かは、プロスポーツ選手としての社会的評価に影響する事実といえる。 そうすると、原告がシアトルにおける自主トレーニングを遊び半分の真剣味のない態度で行い、それどころか二日に一度はストリップバーに通って夜遊びに耽っていたとの事実を公表することは、読者に、原告にはプロスポーツ選手としての自覚に欠けているとの印象を与え、原告の社会的評価を低下させるものである。 加えて、<証拠略>によれば、本件記事の本文冒頭には、「なにしろ長嶋監督との山籠もりを辞退しての渡米だけに、もう後はなかった。」との記述があることが認められ、原告が、そのような正念場においてでさえ、真剣にトレーニングを行わないような、プロとしての自覚に欠ける選手であるとの印象を与え得ることからも、本件記事部分が原告の社会的評価を低下させることは明らかである。 また、プロ選手にとって、身体能力の優劣は、当然、選手としての社会的評価に影響するといえるから、原告には「プロスポーツ選手として要求されるべき体力がないとの事実を報道することも、原告の社会的評価を低下させるものである。 イ 被告は、原告が、天才肌の豪快な選手であると評価され、トレーニングを積み重ねて技を磨く選手であるとは認識されていないということから、自主トレーニングについての報道によって、原告の名誉が毀損されることはないと主張するが、一般に、天才的な素質のあるプロスポーツ選手であっても、日々のトレーニングをする必要はないとは考えられてはいないので、本件記事部分によって原告の社会的評価が低下しないとはいえない。 ウ また、被告は、原告が平成一一年のシーズン中好成績を残すことができず、本件記事が掲載された当時、すでに世間から、東京読売巨人軍が優勝を逸したことについての「A級戦犯」と認識されていたことをもって、本件記事部分がさらに原告の社会的評価を低下させることはないと主張する。 しかし、平成一一年のシーズンの成績不振によって、原告のプロ野球選手としての社会的評価が低下していたとしても、本件記事部分は、翌シーズンでの復活を期して米国でのトレーニングに励んでいるとされている原告が、実際は厳しいトレーニングを行っている事実はなく、トレーニングへの態度も真剣味がないうえに、ストリップバーに通っていたと報じたものであり、単なる成績不振による社会的評価の低下とは別に、原告の社会的評価を低下させる内容といえる。 したがって、被告の上記主張はいずれも採用できない。 (6)以上によれば、本件記事部分は、原告の名誉を毀損するものであるといえる。 また、本件広告も、見た者に、原告がシアトルでの自主トレーニング中に、ストリップに通っていたとの印象を与えるものであるから、本件記事部分と同様に、原告の名誉を毀損するものであるといえる。 二 争点2について (1)真実性の証明について ア 本件記事部分の取材経緯について 前記争いのない事実等及び<証拠略>によれば、次の各事実が認められる。 (ア)週刊ポストの編集者Xは、平成一二年一月七日ころ、以前から週刊ポストに掲載する記事の取材を依頼していたY記者から、原告のトレーニングの様子を聞けるかもしれないとの報告を受けた(なお、Xは、Y記者のことを、オレゴン大学で新聞ジャーナリズムを学び、大学在学中にレスリング部に所属し、かつてフリーファイティング・フェデレーションという格闘技種目の団体でランキング第一位となった実績があると聞いていたことから、格闘技関係者の知り合いが多いものと認識していた。)。 (イ)Y記者の報告内容は、次のとおりであった。 a 平成一一年一二月中旬ころ、原告のトレーニング先のジムに出入りしている日本人の知人Aから、原告がシアトルで、専属トレーナーのケビン・ヤマザキの指導を受けてトレーニングをする予定であると聞いていたところ、原告は、平成一二年一月六日(日本時間)に渡米し、翌七日よりケビン・ヤマザキの指導によるトレーニングを開始した。 Y記者には、原告が利用する予定のトレーニングセンターの利用者に知人が多く、原告の専属トレーナーであるケビン・ヤマザキとも、平成七年にY記者がアメリカに滞在した際に、オレゴン大学レスリング部とワシントン大学レスリング部との交流試合の会場で、偶然会って以来の知人である。 b また、Aと同様に、原告のトレーニング先のジムに出入りしている米国人格闘家の知人Bからも情報が得られる。 Bとは、平成二年にBが来日した際に訪れたトレーニングジムで知り合って以来の親しい関係である。 (ウ)そこで、Xは、Y記者に対し、ケビン・ヤマザキに、原告のシアトルでのトレーニングの様子を取材して平成一二年一月一〇日までに報告するように指示した。 (エ)Y記者は、平成一二年、一月一〇日に、Xに対し、次のとおり報告した。 a 平成一二年一月九日に、Y記者が、ケビン・ヤマザキに電話で取材をしたところ、同人は、原告のトレーニングぶりに対する否定的なコメントを語り、三週間の専属トレーナーの期間が終了後、さらに言いたいことがある旨述べており、原告のトレーニングぶりに不満があるような様子であった。 b すでに、平成一二年一月七日に、シアトルにいるA及びBに対し、原告の様子を知らせて欲しいと頼んである。 (オ)そこで、Xは、Y記者に対し、ケビン・ヤマザキからの取材内容を文書にするよう求め、さらに取材を進めるように指示した。 (カ)Xは、平成一二年、一月一一日の取材班のプラン会議で、原告のシアトルでの様子を記事にする提案をした。 (キ)平成一二年一月一一日午後、Y記者から「清原シアトル」と題する電子メールが送信されてきた。この文書には、ケビン・ヤマザキのコメント形式で、原告がケビン・ヤマザキのトレーニングを受けることになった経緯や、原告について「プロ野球選手として線が細すぎるような印象がある。」など、ケビン・ヤマザキやトレーナーの立場から評価した原告の印象、さらに「清原には何を言ってもダメだとサジを投げたいくらいだ」など、ケビン・ヤマザキの「本音」と書かれた原告に対する批判的な内容が記述されていた。 (ク)Xは、Y記者に対し、ケビン・ヤマザキ、A及びBに対する取材を進めるように指示した。 (ケ)Xは、平成一二年一月一二日から一四日にかけて、Y記者から、Aに取材した結果として、次の報告を受けた。 a シアトル到着後、原告が、宿泊先のホテルで割り当てられた部屋番号が四〇二号室であったので、縁起が悪いと主張して、部屋を交換してもらった。 b 原告のトレーニングメニューのほか、原告のトレーニング当初における体力測定の結果、原告の体力が劣っていた。 c 原告は、最初のうちは真剣にトレーニングに励んでいたが、Vがトレーニングに合流して、原告とVが親しくなってからは、トレーニングの真剣さが失われてきた。 (コ)さらに、平成一二年一月一六日、Yから、Aの話として、原告のストリップ通いについて、次のような報告を受けた。 a 一月一三日か一四日ころ、Vが原告を強引にストリップに誘い、原告が行った。 b Vと意気投合した原告は、ストリップ劇場で羽目を外して豪遊した。 c 原告は、トレーニングもそこそこに格闘家と親睦を深めたり、遊びに行くようになった。 (サ)同じころ、Xは、Y記者から、Bの話として、K1参加歴のある格闘家モーリス・スミスが、原告とVがマット上で関節技を掛け合うのを見て、原告には、パンチやキックの練習をした方が減量に最適だと忠告したところ、原告は、Vを相手にミット打ちを始めたとの報告を受けた。 (シ)平成一二年一月一九日、YからXに、それまでの取材結果をまとめた取材原稿が送付された。 (ス)Xは、同日、上記取材の結果及び他の取材班の取材結果に基づき、本件記事部分を作成した。 (セ)Y記者は、原告本人及び所属球団である東京読売巨人軍に対しては、一切取材はしなかったし、Xも原告らに対する確認取材が行われていないことを知っていたが、あえて追加取材はしなかった。 (ソ)Xは、週刊ポスト発行後である平成一二年三月、Y記者に、原告のトレーニング及びストリップバーに行った際の様子について、追加取材を指示した。 (タ)Y記者の追加取材の結果に基づき、Xは、「清原『チップ一〇〇〇$ストリップ通い』を金髪嬢が爆弾発言!」との見出しからなる追加記事を作成し、同記事は、週刊ポスト二〇〇〇年四月一四日号に掲載された。 イ 前記認定事実によれば、本件記事部分は、Y記者のケビン・ヤマザキ、A及びBに対する取材結果の報告及び他の取材班の取材結果の報告に基づいて作成されたことが認められるので、まずY記者の同人らに対する取材内容について検討する。 (ア)証人Xは、Y記者は、原告がトレーニングを行っていたジムに日常的に出入りして原告のトレーニングの様子を間近で見ていたA及びBに直接取材を行い、また、平成一二年一月九日にケビン・ヤマザキに電話取材を行い、電子メール及び取材原稿の内容のとおりの供述が得られた旨証言する。 しかし、上記証言は、いずれもY記者及び取材対象者らの供述を内容とする伝聞供述であり、これによりY記者の取材が適切に行われたのか、ケビン・ヤマザキ、A及びBが、Y記者に対して、記憶に基づいて正確に供述したか、A及びBについては、本当に原告のトレーニングの様子を目撃したのかなどについて確認することはできない上、Xも、本人の希望を理由にA及びBの実名を明らかにしないなど、Y記者の取材方法につき具体的な証言をしていないことに鑑みると、上記証言を直ちに採用することはできない。 (イ)また、Xは、Y記者が、本件記事掲載後の平成一二年三月二二日に渡米し、A、B及び他のトレーニングジム関係者に会って直接に話を聞いており、また、Bの案内で、原告が訪れたストリップバーに行き、ドアマンやストリッパーに、原告を含む複数の日本人プロ野球選手の顔写真とVの顔写真を示して、二か月位前に来ていた日本のプロ野球選手を覚えているかと提示したところ、迷わず原告の顔写真を選んだこと、店の東洋系のドアマンは、原告は、間違いなく三回は来店した旨断言したし、ストリッパーは、原告のことをキヨという愛称で覚えており、原告が、今までの中で一番チップをはずんでくれた客であると述べたことにより、本件記事部分の重要部分の正確性が確認されたとも証言する。 しかし、上記証言も伝聞供述であり、同証言によっても、Y記者の取材が適切に行われたこと、取材対象者が記憶に基づいて正確に供述をしたか否かを確認することはできないし、Xも、取材対象者の氏名も明らかにしないなど、具体的な証言をしていない上、証言内容を補強するに足りる他の証拠も認められないことからすれば、上記証言を直ちに採用することはできない。 (ウ)また、同様の理由から、Xが、Y記者の取材結果が記載されている旨供述する乙第二及び三号証の記載内容が真実であると認めることはできない。 (エ)さらに、Y記者の報告に基づかない部分について、Xは、他の取材班の取材結果に基づいて作成したとも証言するが、取材記者、取材対象者が誰であるかも明らかではなく、Xも、他班の取材結果で分かった情報であると証言するにとどまり、それ以上の具体的な証言をしないから、これも採用することはできない。 (オ)そうすると、本件記事部分の作成に際して、被告らにおいて、取材の内容を裏付けるに足りる証拠はないといわざるを得ず、他に本件記事部分の真実性を裏付けるに足りる証拠はない。 ウ したがっで、本件記事部分の内容が真実であるとは認めることができない。 (2)真実であると信じたことについての相当の理由について 前記争いのない事実及び本件全証拠によっても、Y記者の取材方法の適切性及び正確性について確認することができないことは、前述したとおりである。 そもそも、Xの証言によっても、Y記者のケビン・ヤマザキ、A及びBに対する取材は、全て東京から電話又は電子メールによって行われたというのであるから、情報源とされた者に面談することなく得られた取材結果を、Xが安易に信用したこと自体、相当ではなかったといわざるを得ない。 また、本件記事が、シアトルに滞在中の原告のトレーニングの実態を明らかにするとの意図で作成されたとしても、原告や東京読売巨人軍に対する取材を行わずに掲載しなければならない緊急性があったとは認められないから、原告に対する取材をしないで本件記事部分を掲載したことも、被告らの取材が不十分であったということができる。 そうすると、本件記事部分を真実であると信じたことについて相当な理由があるとは認めることができない。 三 争点3について (1)以上によれば、週刊ポストの編集者は、記事の掲載により他人の名誉を毀損することのないように注意すべき義務があるにもかかわらず、これを怠って本件記事を週刊ポストに掲載したものであるから、不法行為責任があり、かつ本件記事の編集は、被告の事業の執行につき行われたものであるから、被告は、民法七一五条により、上記不法行為によって原告に生じた損害を賠償すべき義務を負う。 (2)前記争いのない事実等及び前記各認定事実によれば、本件記事は、紙面中央に「やっぱり!“虎の穴”自主トレ清原が『金髪ストリップ通い』目撃!」との大見出しを配置して、読者に、シアトルで自主トレーニングに励んでいると報じられていた原告が、実際はトレーニングを励行せずストリップバーに通っていたとの印象を強く与える上、本文も、原告には体力がなく、自主トレーニングの実態が「地獄のトレーニング」にはほど遠い軽い内容であること、原告がトレーニングを真剣味のない態度で行い、その最大の例として、原告が頻繁にストリップパーに通っていたなど、原告のトレーニングについて具体的かつ断定的な記述がなされており、読者に対し、本件記事部分の内容を強く印象づけるものである。 そして、週刊ポストは、社会、芸能情報を扱う週刊誌の中でも発行部数が多く、大きな社会的影響力を有すると認められる上、本件記事の広告が全国紙に掲載された結果、読者を含む多数の者が、原告が、卜レーニング先でストリップバーに通っていたとの印象を受けたことが窺われる。 また、原告は球界でも屈指の人気選手であるうえ、<証拠略>によれば、本件記事が掲載された当時、折しも、原告は、平成一二年のシーズンでの復活を賭けて、必死でトレーニングをしていると認識されていた時期であったと認められ、以上の諸事情を考慮すると、本件記事部分の掲載により、原告の社会的評価は大幅に低下し、原告の受けた精神的苦痛の程度も大きかったことが認められる。 上記の事情に加え、被告は、本体訴訟係属後にも、本件記事部分の重要部分の内容が正当である旨の追加記事を掲載していること、本件記事部分の内容は、単に原告の競技成績に関する評価ではなく、プロ野球選手としての資質に対する評価を低下させるものであったことなどを考慮すると、本件記事の掲載から約一年二か月を経過した現在においても、原告が失った名誉は未だ回復されたとはいえないというべきである。 (3)そして、本件不法行為の態様と、前述の諸事情に照らすと、被告には、不法行為による損害賠償として、原告に対して、原告が被った精神的苦痛に対する慰藉料として一〇〇〇万円を賠償すべき義務があると解するのが相当である。 また、被告は、原告の名誉回復のための措置として、別紙一記載のとおりの謝罪広告を別紙二の掲載要領に従い、被告が本件記事を掲載した週刊ポストに掲載することが相当である。 なお、原告は、読売新聞への謝罪広告の掲載も求めているが、本件不法行為の態様等に照らすと、原告の名誉回復のための措置としては、本件記事が掲載された週刊ポストへの謝罪広告を命じれば足りるもの解される。 第四 結論 以上のとおり、原告の本訴請求は、被告に対して、慰藉料一〇〇〇万円及びこれに対する訴状送達の日の翌日である平成一二年三月一八日から支払済みまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金並びに主文第二項記載のとおりの謝罪広告の掲載を求める限度で理由があるからこれを認容し、その余の請求については、理由がないからこれを棄却し、訴訟費用の負担については民訴法六一条及び六四条本文を、仮執行の宣言については同法二五九条一項をそれぞれ適用して、主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第26部 裁判長裁判官 寺尾洋 裁判官 野口忠彦 裁判官 平井直也 別紙一 清原和博氏に対する謝罪文 週刊ポスト第一五二六号(二〇〇〇年二月四日付)に「やっばり!“虎の穴”自主トレ清原が『金髪ストリップ通い』目撃!」と題する、清原和博氏が平成一二年に行った米国シアトルでの自主トレーニングに関する記事を掲載しましたが、この記事は、見出しを含めて、重要部分が事実ではありませんでした。 この記事により、清原和博氏にご迷惑をおかけしたことをお詫びいたします。 別紙二 一 掲載する回数 一回 二 使用する活字 (1)「清原和博氏に対する謝罪文」という見出し 八ポイントのゴシック体 (2)本文 八ポイントの明朝体 別紙三 お詫び 当社が発行し、私が編集人をつとめる「週刊ポスト」の二〇〇〇年二月四日号に「やっばり!“虎の穴”自主トレ清原が『金髪ストリップ通い』目撃!」「スクープ米シアトル発」との記事を掲載いたしましたが、貴殿の米国シアトルにおけるトレーニングに関する右記事は見出しを含めて重要部分はすべて虚偽であり、貴殿の名誉を大きく傷つけるものでありました。 「週刊ポスト」編集部は、貴殿を含め取材らしい取材もせずに右のようなデッチあげの記事を掲載してしまったものであり、誠に申し訳ありません。 ここに貴殿に対し衷心よりお詫び申し上げるとともに、今後は、このような誤った記事を掲載しないよう事実確認を徹底することを誓います。 年 月 日 株式会社小学館「週刊ポスト」編集人 Z 清原和博様 別紙四 1 謝罪広告の大きさは、新聞については二段・横九センチメートルとし、雑誌については横五分の一とする。 2「年月日」欄には、謝罪広告掲載の年月日を記載する。 3「お詫び」、「株式会社小学館」、「『週刊ポスト』編集人Z」及び「清原和博様」の各文字は八ポイント明朝体とする。 別紙五<略一> |
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