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【事件名】『チーズはどこへ消えた?』の「類似本」事件B 【年月日】平成13年12月19日 東京地裁 平成13年(ヨ)第22103号 著作権仮処分命令申立事件 決定 債権者 株式会社扶桑社 債権者 甲 債権者両名代理人弁護士 牧野二郎 同 佐久間篤夫 債務者 道出版株式会社 債務者 乙 債務者両名代理人弁護士 岡本敬一郎 主文 1 債務者道出版株式会社は、債権者甲に対し、別紙目録記載の書籍を発行し、販売し、頒布してはならない。 2 債権者甲のその余の申立て及び債権者株式会社扶桑社の申立てをいずれも却下する。 3 申立費用は、これを3分し、その2を債務者道出版株式会社の負担とし、その余を債権者らの負担とする。 理由の要旨 第1 債権者らの申立て 1 債務者らは、別紙目録記載の書籍を発行し、販売し、頒布してはならない。 2 債務者らはその占有する別紙目録記載の書籍の在庫品を裁断その他の方法により廃棄せよ。 第2 事案の概要 本件は、債務者らが別紙目録記載の書籍(以下「債務者書籍」という。)を出版し、販売する行為は、債権者甲の有する著作権並びに債権者株式会社扶桑社(以下「債権者扶桑社」という。)の有する出版権及び編集著作権を侵害すると主張して、債権者らが債務者らに対して、出版等の差止め及び債務者書籍の廃棄を求めている事案である。 1 前提となる事実 (1) 米国在住の丙は、「Who Moved My Cheese ?」(以下「原著作物」という。)を著作した。米国の出版社であるペンギン・パットナム社は、丙との間で出版契約を締結し、原著作物の出版権を取得した。 (2) 債権者扶桑社は、平成10年12月10日、ペンギン・パットナム社との間で出版契約を締結し、原著作物を日本語に翻訳し、出版する権利を取得した。債権者扶桑社は、この契約に基づき、債権者甲に原著作物の翻訳を依頼し、同12年11月30日、債権者甲の翻訳により、原著作物の日本語訳版である「チーズはどこへ消えた?」と題する著作物(以下「本件著作物」という。)を日本国内において出版した。 (3) 債務者道出版株式会社(以下「債務者道出版」という。)は、平成13年4月25日ころ、債務者書籍を出版した。債務者書籍は、全国の書店において広く販売されている。 (4) 債務者乙は、債務者道出版の代表者であり、債務者書籍において発行者として表示されている。 2 争点及びこれに関する当事者の主張 (1) 債権者らの有する権利について 【債権者らの主張】 ア 債権者甲について 債権者甲は、前記1のとおり原著作物を日本語に翻訳したものであるから、本件著作物の著作権者である。それゆえ、債権者甲は本件著作物に関する翻案権を有している。 イ 債権者扶桑社について 債権者扶桑社は、丙より権限の委託を受けたペンギン・パットナム社から原著作物を日本語に翻訳する権利の設定を受けた。同時に、債権者扶桑社は、原著作物の出版権を取得していたペンギン・パットナム社から、原著作物を日本語に翻訳した著作物についての出版権を取得した。 さらに、債権者両名の間では、債権者甲が原著作物を翻訳して完成した二次的著作物(本件著作物)につき債権者扶桑社が出版することの事前の合意があり、本件著作物を債権者扶桑社が出版することが債権者甲の翻訳作業の前提とされていた。したがって、債権者扶桑社は、本件著作物の納入を受けた時点で、本件著作物の著作権者である債権者甲からも出版権を取得した。 債権者扶桑社は、本件著作物の製作に当たり、ライターにイラストの作成を発注し、書籍のカバー、装丁、イメージ、カラー、ページ数、活字の大きさ、1ページの文章の分量や行数、行間及び字間の設定、余白の広さ、配置、版面構成ページの振り方やデザインといった編集行為を行った。したがって、債権者扶桑社は、本件著作物について編集著作権を有している。 【債務者らの主張】 債権者ら主張の事実は知らず、法律上の主張はすべて争う。 (2) 債務者らが債務者書籍を発行、出版する行為は、債権者甲の翻案権を侵害するか。 【債権者らの主張】 ア 翻案について 債務者らは、本件著作物の筋立て、主たる構成などの思想感情の流れを無断で取り入れ、本件著作物の表現形式上の本質的な特徴を直接感得できるような内容の債務者書籍を製作し、出版して、債権者甲の本件著作物についての翻案権を侵害した。 債務者書籍の記載の中で、本件著作物の表現を翻案した箇所は多岐にわたるが、特徴的な部分を抽出すると次のとおりである。 @ 表紙 表紙に記載されている著者名につき、債務者書籍では故意に架空の名称である「丁」という名称を付しているが、この名称は企業買収で有名な投資会社リップルウッド・ホールディングスに由来すると思われ、あえて原著作物の著者である丙に似せた外国人の氏名を用いている。 A 全体の構成及び第1部に相当する「ある集まり」の場面設定 本件著作物は、第1部「若者たちが語り合う方法で本編の導入をする場面」、第2部「物語の本体に当たる本編」、第3部「若者たちが物語の感想を語り合うというイメージで締めくくる場面」という3部構成をとっているが、債務者書籍もこれと同一の構成になっている。 そして、第1部に相当する「ある集まり」の章においては、地方都市出身者の久々の同窓会の集まりという場面の設定であること、語り手が登場し「面白い物語に接して自分の意識に変化が生じた。」旨発言すること、これに対して聞き手が相づちを打ち、話が進展していくこと、短い話だからと断ってから語り手が話を始めること、において本件著作物と債務者書籍は共通する。 B 本編のストーリー設定 本件著作物では2匹のネズミと2人の小人が登場するのに対して、債務者書籍では2匹のキツネと2匹のネコが登場する点で、登場人物の構成・数が類似している。そして、これらの登場人物がものを生産しないで探し回り、かつ、いつも探し回っているという設定であるという点においても、両者は共通する。 C ものを発見する場面 本件著作物では「チーズ・ステーションC」、債務者書籍では「池のほとりの白いペンション」と具体的な表現は異なるが、探し続けたものを探していた場所に見つけたという設定自体は、共通する。 そして、登場人物が朝早く起きて、同じ道を通って、見つけた場所に通うことが日課になったという点、ごちそうである「チーズ」又は「バター」に舌鼓を打ったという点においても共通する。 D 引っ越しの話 登場人物が次第に早起きをやめて、のんびりするようになったという点、どのみち、ものがある場所も行く方法も分かっているとしている点、それが自分たちに与えられたものであると思い込み、ものがある場所の近くに引っ越してきたという点において、本件著作物と債務者書籍は共通する。 E 消失と疑い チーズ又はバターが少しづつなめていることで消えたという事実の指摘があること、登場人物がそのことに気づかないこと、次に姿の見えない他の仲間を疑い始める点において、本件著作物と債務者書籍は共通する。 F 展開 一方の登場人物である小人又はネコがチーズ又はバターが無くなったことを嘆いている間に、他方の登場人物であるネズミ又はキツネが探し求めていた大量のチーズ又はバターを発見するという物語の展開、残された者たちも、やがて無くなったものを探しに行こうと決意する点において、本件著作物と債務者書籍は共通する。 G 探索 本件著作物では「壁に穴を空ける」、債務者書籍では「地面を掘り返す」と具体的な表現は異なるが、残された者がすぐに飛び出すのではなく周りを探し求めるという設定自体は共通し、その方法についても酷似している。そして、その作業を何日も繰り返す点、最後にはその無意味さにようやく気づくという点において、両者は共通する。 H 第3部に相当する「話の後の集まり」の場面設定 語り手が物語を話し終わると、周りで聴いていた者たちの表情が和らぎ、微笑んでいたという設定、後で話をしようという提案に多くの者が賛成し、その場は散会したという設定において、本件著作物と債務者書籍は共通する。 イ 依拠性について 本件著作物は、平成12年11月30日に出版され、全国の有名書店で販売された。債権者扶桑社は、本件著作物につき大々的な宣伝を行っており、本件著作物は発売と同時に猛烈な売上げを記録し、増刷を続けた。債務者らはこれを知り、本件著作物に接し、これを利用して債務者書籍を出版した。 このことは、債務者書籍中の次のような記載からもうかがわれる。 @ 「私がこの物語にはじめて出会ったのは……」(7頁)として、創作であることを否定し、他の物語、すなわち本件著作物への依拠を示している。 A 「なにやら似たような話が世のなかに出まわっておると聞いて」(7頁)として、既に本件著作物があり、それに依拠したことを示している。 B 「二匹目のどじょう……」(7頁)と自嘲気味に書いているが、まさに債務者らが本件著作物の売れ行きに便乗して、二匹目のどじょうを狙っていることが示されている。 このような債務者書籍自体の記載から明らかなとおり、債務者らが本件著作物の存在を前提として、これに依拠して債務者書籍を出版したことは、明らかである。 【債務者らの主張】 ア 翻案について 本件著作物と債務者書籍はテーマを異にしており、そのため読者に異なる印象や感想を与えるものである。 すなわち、本件著作物は、仕事や生活の場で変化に直面したときに、変化に素早く適応し、従来のやり方には固執せず、進んで自分自身を変えなければ、事態は好転しないと説く内容である。これに対して、債務者書籍は、変化で失ったものに代わる何かを追い求め、必死に前進しなければという焦燥感から自分を見失うことの無意味さを訴え、何となく感じる日常の幸せを大事にしようと説く内容である。 したがって、部分的に似た意味の言葉があったとしても、出発点においてチーズ又はバターが無くなったという点が共通していても、テーマから導かれる本質的な構成部分は異なる。 そして、債権者らの指摘する共通点、類似点についても、以下のように反論が可能である。 @ 表紙について 著者のペンネームは投資会社からとったものではないし、丙という原著作物の著作者名とも類似していない。 A 全体の構成及び第1部に相当する「ある集まり」の場面設定 「ある集まり」の部分は共通するが、場所が本件著作物では人口密集地で経済の中心であるシカゴとなっているのに対し、債務者書籍ではひなびた港町としており、パロディの定石にのっとっている。 全体の構成が3部構成を採っている点でも共通するが、第1部「同窓会に集まるシーン」、第2部「本編」、第3部「同窓会の場面に戻る」という構成は、映画「二十四の瞳」にもみられるもので、本件著作物に独特の手法ではない。 会話における「ちょっと面白い物語」「どんなふうに」という言葉は共通しているが、物語を読むことによって、本件著作物では「すべてが変わった」「変化に対する見方が変わった」と表現しているのに対し、債務者書籍では「気持ちが楽になった」「幸せとはなにかってことに対しての見方が大きく変わった」としており、両者の性格の違いが表れている。 B 本編のストーリー設定 単にそれぞれの登場人物を説明している部分であるから創作性は認められない。また、舞台となるのが本件著作物では「迷路」という人工的な空間であるのに対し、債務者書籍では「森」という天然の存在である点が大きく異なっている。 C ものを発見する場面 発見する場所が、本件著作物では「チーズ・ステーションC」という人工的な舞台であるのに対し、債務者書籍では「ペンションの玄関先」という自然的な舞台である点が異なっている。その他、債権者らが指摘する設定等の共通性はパロディーの常套的な手法によるものである。 D 引っ越しの話 登場人物がのんびり起きてものがある場所に歩いていく点は同じであるが、後のテーマや新しく起きる事態に対する全く対照的な反応を際立たせるために共通の設定にしたもので、パロディーの手法の一つである。 E 消失と疑い チーズ又はバターが無くなったことがそれぞれの話の起点であるが、それに対する対応の違いがそれぞれの著作物の特徴となっている。そして、債務者書籍に登場するネコのうちミケは本件著作物の登場人物である小人と同じような行動様式をとろうとするが、タマはそれとは全く異なる行動をとるという片鱗が既に表れている。 F 展開 債務者書籍に登場するネコのうちタマは本件著作物の登場人物である小人とは全く異なる行動をとるという片鱗が既に表れている。債務者書籍の著者は、ミケが本件著作物の登場人物である小人と同じような行動をすることに厳しい批判を向けている。 G 探索 行動を起こしたのが「翌日」であるという点だけは共通するが、類似性はない。本件著作物のヘムは自力を頼む発言をしているが、ミケは不安からじっとしていられないという受動的な対応であり、行動に出る動機も異なる。 H 第3部に相当する「話の後の集まり」の場面設定 類似性は認められないし、全体の構成が3部構成を採っている点は前記Aのとおり本件著作物に特有のものではない。 イ 依拠性について 債務者書籍が本件著作物に依拠している旨の債権者らの主張は、争う。 そして、債権者らが挙げる具体的な事実については、債務者書籍中に指摘に係る記述が存在することを除き、すべて否認する。 @については、「この物語にはじめて出会った」という文章にいう「この物語」が債務者書籍を指すことは、文脈から明らかである。Aについては、「似たような話が出まわっている」との記述は債務者書籍が批判の対象とする著書の存在を示した表現であり、依拠性の根拠となるものではない。Bについては、「二匹目のどじょう」という言葉は創作的ユーモアであり、しかもすぐ後で否定している。 (3) 債務者書籍は言論・表現の自由の範囲内に属するパロディーであって、債務者らがこれを出版することは適法な行為として許されるか。 【債務者らの主張】 本件著作物と債務者書籍を対比すると、設定や登場人物等に類似性が認められることは確かである。 しかし、それは、パロディーとしての性質上、ともにチーズ探しやバター探しに出かけなければならない状況から話を始める必要から生じたものである。しかも登場人物の性格やその作品における位置づけは、両者で全く異なる。そして、その結果として、チーズ探しやバター探しが始まってから、登場人物が抱く感想や得る教訓その他の反応についても異なっている。 すなわち、債務者書籍は、本件著作物において主人公の位置を占める小人のホーの行動を批判するために、ホーと外見上似たような行動をするミケを登場させ、債務者書籍における主人公であるタマからミケの行動について揶揄するセリフを言わせたり、あるいはタマにミケの行動から全く離れた独自の行動をさせたり、ミケの行動を心配させたり思いやったりしながら、ミケの至らない点を表出している。このように、債務者書籍では、ミケに対する批判的姿勢を通じて、本件著作物が声高に叫び立てるテーゼに対するアンチテーゼを定立している。 以上のように、債務者書籍は、パロディーとして本件著作物を風刺し、批判したものであって、表現の自由の一つの行使態様として債務者らが債務者書籍を出版することは許されるというべきである。 【債権者らの主張】 債務者らは、債務者書籍に本件著作物と類似している表現をしている部分があること、債務者らが本件著作物の存在を認識して債務者書籍を出版したことを認めている。それゆえ、債務者らの上記翻案、出版行為が債権者らの著作権や出版権の行使を制限すべき法定の事由に当たらない限り、債務者らの行為は著作権侵害となる。 しかるに、債務者らは上記権利制限事由についての具体的な主張をせず、単にパロディーであるから著作権侵害にならないという趣旨の主張をするにとどまっており、債務者らの上記主張はそれ自体失当である。 (4) 債務者らが債務者書籍を出版することは、債権者扶桑社の出版権を侵害するか。 【債権者らの主張】 債務者らは、本件著作物を翻案した債務者書籍を無断で出版したのであるから、債権者扶桑社の有する本件著作物についての出版権を侵害している。 【債務者らの主張】 債権者らの主張は否認し、争う。 (5) 債務者らが債務者書籍を出版することは、債権者扶桑社の編集著作権を侵害するか。 【債権者らの主張】 ア 装丁編集における編集著作権の侵害 本件著作物と債務者書籍は、いずれも本体にカバー(装丁)をかけて販売されている。本件著作物は、本体カバーの表紙側には、順に、@英文の題名(47.5ポイント活字で、濃茶色)、A和文の題名(カタカナ・ひらがなフォント53.4ポイント活字で、赤茶色)、Bカタカナで著者名(カタカナ・ゴシックフォント24.6ポイント活字で赤茶色)、C英文字で著者名(英文フォント28ポイント活字で濃茶色)、D翻訳者の氏名(ゴシック体フォント15ポイント活字で赤茶色)となっているが、債務者書籍においてもDがイラスト作成者となっている点を除き、上記構成とほぼ同一の表示を行い、構成のみならず、配置、カラー、色調、活字イメージなどにおいて、酷似した内容になっている。 さらに、本体カバー裏表紙の定価等の表示及び本体カバー背文字の書名、著作者等の表示においても本件著作物と債務者書籍は類似している。 イ 装丁イラスト及び書籍の大きさ、配色の類似 本件著作物の本体カバーのイラストの配色は、白を背景に、灰色、黒色、黄土色、茶色を用いているのに対し、債務者書籍の本体カバーのイラストの配色は、薄黄色を背景として、その他は白色、灰色、黒色、黄土色を用いている。いずれの配色も、黄系統や茶系統の色を基調として白色や黒色を組み合わせており、全体の色調は類似している。 さらに、債務者書籍の版型(B6)及び頁数(96頁)は本件著作物のそれと同一であり、手に取って感じる大きさも、重さもほぼ同様である。そして、両者は、本体表紙を開くと表見返し及び裏見返しはいずれも茶色無地でそれぞれに同色の遊び紙が1枚あり、鮮やかな原色系の色の扉を開くと、目次なしに本文が始まる構成になっている。 ウ その他の外形的類似性 本件著作物と債務者書籍は、その他にも、縦書き形式を採用している点、各頁の行数が最大でも16行、通常はそれ以下であり、空白部分が多い点、文章の下段が大きく空けられ、40字程度に押さえられているため読みやすくなっている点、いずれもアメリカ本が原作という体裁をとっている点などにおいて共通する。 エ まとめ 債権者扶桑社は、本件著作物を日本で発行する書籍として、内容に最も適した編集物に上記の各種編集を行ったものであるが、債務者らはこうした編集行為そのものをすべて無断で流用し、使用して、債権者扶桑社の編集著作権を侵害している。 【債務者らの主張】 本件著作物の本体カバーのイラストの配色は、白を背景に、灰色、黒色、黄土色、茶色を用いているのに対し、債務者書籍の本体カバーのイラストの配色は、薄黄色を背景として、その他は白色、灰色、黒色、黄土色を用いていること、いずれの配色も黄系統や茶系統の色を基調として白色や黒色を組み合わせていること、債務者書籍の版型(B6)及び頁数(96頁)は本件著作物のそれと同一であり、手に取って感じる大きさも、重さもほぼ同様であることは認めるが、債務者書籍が債権者扶桑社の著作権(編集著作権)を侵害する旨の主張は、争う。 (6) 保全の必要性 【債権者らの主張】 債権者らは、債務者らに対し、著作権侵害に基づく損害賠償請求の本案訴訟を提起する予定であるが、債務者らによる債務者書籍の出版は本件著作物の出版と競合させて広範に行われており、これを放置するならば債権者らの著作権に重大な悪影響を及ぼし、債権者らに回復し難い損害が生ずるおそれがある。 【債務者らの主張】 債権者らの主張は、争う。 第3 当裁判所の判断 1 争点(1)(債権者らの有する権利)について 前記第2の1の事実及び疎明資料(疎甲1の1、2、同3の1、2)によれば、債権者扶桑社は、平成10年(1998年)12月10日、原著作物の著作者である丙から権限の委託を受けていたペンギン・パットナム社との間で、原著作物を日本語に翻訳すること及びその翻訳した著作物を出版することにつき許諾を得たこと、債権者扶桑社はそのころ債権者甲に原著作物の翻訳を依頼し、債権者甲はこれに基づき原著作物の翻訳である本件著作物を著作したこと、債権者甲が債権者扶桑社に本件著作物を納入した時点で債権者扶桑社は債権者甲から本件著作物につき出版権の設定を受けたこと、を認めることができる。 したがって、債権者甲は、本件著作物の著作権者として翻案権を有し(著作権法27条)、債権者扶桑社は、本件著作物の出版権者として出版権を有する(同法80条)。 2 争点(2)(翻案権侵害の成否)について (1) 一般に、言語の著作物の翻案とは、既存の著作物に依拠し、かつ、その表現の本質的な特徴の同一性を維持しつつ、具体的表現に修正、増減、変更等を加えて、新たに思想又は感情を創作的に表現することにより、これに接する者が既存の著作物の表現上の本質的な特徴を直接感得することのできる別の著作物を創作する行為をいい、既存の著作物に依拠して創作された著作物が、思想、感情若しくはアイデア、事実若しくは事件など表現それ自体でない部分又は表現上の創作性がない部分において、既存の著作物と同一性を有するにすぎない場合には翻案に当たらないと解するのが相当である(最高裁平成11年(受)第922号同13年6月28日第1小法廷判決・民集55巻4号837頁参照)。 そして、本件著作物は丙の著作に係る原著作物の二次的著作物(著作権法2条1項11号)に当たるところ、二次的著作物の著作権は、二次的著作物において新たに付与された創作的部分のみについて生じ、原著作物と共通する部分には生じないと解するのが相当である(最高裁平成4年(オ)第1443号同9年7月17日第1小法廷判決・民集51巻6号2714頁参照)。 (2) 上記(1)によれば、債務者書籍が債権者甲の著作権を侵害するか否かは、債務者書籍の具体的な表現から本件著作物において新たに付与された創作的な表現部分の本質的な特徴を感得できるかどうかによることになる。 そこで、債権者らが債務者らが本件著作物を翻案した根拠として指摘する部分について、著作権侵害が認められるか否かを具体的に検討する。 ア @表紙 表紙に記載されている内容は書名及び著者名であるが、丙が原著作物を著作したことは事実であり、書名はそれ自体著作権の対象となるものではないから、これらについて著作権侵害は成立しない。 また、表紙及び前書きに続く部分で裏話として物語の内容の特色を指摘している点についても、「裏話によれば」という形で語り手が物語の内容を語るという記述形式はありふれたものであって、創作性を有しないから、債務者書籍のこれに類似する記載部分は翻案に当たらない。 イ A全体の構成及び第1部に相当する「ある集まり」の場面設定 債権者らの指摘する事実のうち、本件著作物と債務者書籍がともに3部構成をとっていること、第1部に相当する「ある集まり」の章の場面設定が地方都市出身者の久々の同窓会であり、そこである本が話題になって、語り手がその内容を他の出席者に聞かせる点において共通すること自体は、原著作物に由来するものであって、本件著作物において新たに付与された創作的部分に当たらないから、これにつき著作権侵害は成立しない。 他方、「ある集まり」の章を構成する具体的な表現のうち、少なくとも次の部分は本件著作物による創作的な表現部分であると認められる。 (ア)「確かにね」ネイサンも言った。(13頁7行目) (イ)「どんなふうに?」ネイサンが聞いた。(14頁12行目) (ウ)「それで、たちまち物事がうまくいくようになったんだ、仕事でも生活でも。」(15頁3行) (エ)「小学校で聞かされるような話」(15頁5行) そして、債務者書籍におけるこれらに対応する表現部分は、上記の本件著作物の各表現部分に類似し、かつ本件著作物の表現上の本質的な特徴を直接感得することができるものと認められる。 (オ)「たしかにね」健二も言った。(17頁8行目) (カ)「どんなふうに?」好子が聞いた。(18頁14行目) (キ)「それからは、たちまち物事がうまくいくようになったんだ。仕事でも生活でも」(19頁3行) (ク)「まるで子供向けの物語」(19頁6行) したがって、上記の限度では、債務者書籍は本件著作物を翻案したものということができる。 ウ B本編のストーリー設定 債権者らの指摘する、登場人物の構成及び数、登場人物がものを生産しないで探し回っているという設定自体は、原著作物に由来するものであって、本件著作物において新たに付与された創作的部分に当たらないから、著作権侵害は成立しない。 また、この章における本件著作物の具体的な表現と債務者書籍の表現を対比した場合に、創作性のある表現部分につき類似性は認められないから、著作権の侵害は成立しない。 エ Cものを発見する場面 債権者らの指摘する、探し続けていたものが探していた場所で発見されたという設定、登場人物が朝早く起きて、同じ道を通って見つけた場所に通うことが日課になったということ、毎日ごちそうに舌鼓を打っているということ自体は、原著作物に由来するものであって、本件著作物において新たに付与された創作的部分に当たらないから、これにつき著作権侵害は成立しない。 他方、この場面を構成する具体的な表現のうち、少なくとも次の部分は本件著作物による創作的な表現部分であると認められる。 (ア)それでも、スニッフとスカリーも、ヘムとホーも、とうとうそれぞれ自分たちのやり方で探していたものをみつけた。(21頁13行目) (イ)それからは毎朝、ネズミも小人もチーズ・ステーションCに向かった。(22頁1行目) (ウ)ヘムとホーも初めは毎朝、チーズ・ステーションCに急ぎ、新しい美味なごちそうに舌つづみを打った。(22頁6行目) そして、債務者書籍におけるこれらに対応する表現部分は、上記の本件著作物の各表現部分に類似し、かつ本件著作物の表現上の本質的な特徴を直接感得することができるものと認められる。 (エ)それでも、ある日、彼らはとうとう探していたものを見つけた。(27頁1行目) (オ)それからは毎日、キツネもネコもそのペンションに向かった。(28頁1行目) (カ)タマとミケもはじめのうちは毎朝、池のほとりのペンションに急ぎ、久々にありついたごちそうに舌鼓を打った。(28頁6行目) したがって、上記の限度では、債務者書籍は本件著作物を翻案したものということができる。 オ D引っ越しの話 債権者らの指摘する、登場人物が次第に早起きをやめて、のんびりするようになったということ、どのみち、ものがある場所も行く方法も分かっているとしていること、それが自分たちに与えられたものであると思い込み、ものがある場所の近くに引っ越してきたということ自体は、原著作物に由来するものであって、本件著作物において新たに付与された創作的部分に当たらないから、これにつき著作権侵害は成立しない。 他方、この場面を構成する具体的な表現のうち、少なくとも次の部分は本件著作物による創作的な表現部分であると認められる。 (ア)どのみちチーズがある場所も行く道もわかっているのだ。(23頁2行目) (イ)チーズがどこから来るのか、誰が置いていくのかはわからなかった。ただそこにあるのが当然のことになっていた。(23頁3行目) そして、債務者書籍におけるこれらに対応する表現部分は、上記の本件著作物の各表現部分に類似し、かつ本件著作物の表現上の本質的な特徴を直接感得することができるものと認められる。 (ウ)どのみちバターのある場所も行き方もわかっているのだし、(28頁9行目) (エ)バターがどこからくるのか、だれが置いていくのかはわからなかった。ただそこにあるのが当然のことになっていた。(29頁1行目) したがって、上記の限度では、債務者書籍は本件著作物を翻案したものということができる。 カ E消失と疑い 債権者らの指摘する、チーズ又はバターが少しづつなめていることで消えたということ、登場人物がそのことに気づかないこと、次に姿の見えない他の仲間を疑い始めることそれ自体は、原著作物に由来するものであって、本件著作物において新たに付与された創作的部分に当たらないから、これにつき著作権侵害は成立しない。 他方、この場面を構成する具体的な表現のうち、少なくとも次の部分は本件著作物による創作的な表現部分であると認められる。 (ア)事態は変わっていなかった。チーズはなかった。(31頁3行目) (イ)「それはそうと、スニッフとスカリーはどこにいったんだろう?あいつら、われわれの知らないことを知ってるんじゃないだろうか?」(31頁11行目) そして、債務者書籍におけるこれらに対応する表現部分は、上記の本件著作物の各表現部分に類似し、かつ本件著作物の表現上の本質的な特徴を直接感得することができるものと認められる。 (ウ)事態は変わっていなかった。バターはそこにはなかった。(37頁3行目) (エ)「ところでマイケルとジョニーはどこにいったんだろう?あいつら、バターがなくなったことについてなにか知ってるかも……」(37頁10行目) したがって、上記の限度では、債務者書籍は本件著作物を翻案したものということができる。 キ F展開 債権者らの指摘する、一方の登場人物である小人又はネコがチーズ又はバターが無くなったことを嘆いている間に、他方の登場人物であるネズミ又はキツネが探し求めていた大量のチーズ又はバターを発見し、残された者たちも、やがて無くなったものを探しに行こうと決意するという物語の展開自体は、原著作物に由来するものであって、本件著作物において新たに付与された創作的部分に当たらないから、これにつき著作権侵害は成立しない。 他方、この場面を構成する具体的な表現のうち、少なくとも次の部分は本件著作物による創作的な表現部分であると認められる。 (ア)彼らのところにはまだチーズがあるのだろうかと思った。彼らも厳しい事態になって、あてもなく迷路を走りまわっているのかもしれない。でも、それもやがては好転するに違いない。(34頁4行目) (イ)スニッフとスカリーが新しいチーズをみつけ、たらふく食べているのではないかと思うこともあった。自分も迷路へ冒険に出かけ、新鮮な新しいチーズをみつけられたらどんなにいいだろう。そのときのことが目に見えるようだ。(34頁7行目) (ウ)新しいチーズをみつけて味わっているところを想像するにつけ、ホーは、チーズ・ステーションCを離れなければと思った。 「出かけよう!」ふいに、彼は叫んだ。(34頁10行目) そして、債務者書籍におけるこれらに対応する表現部分は、上記の本件著作物の各表現部分に類似し、かつ本件著作物の表現上の本質的な特徴を直接感得することができるものと認められる。 (エ)彼らのところにはまだバターがあるのだろうか。はたまた、彼らもきびしい事態になって、あてもなく森を走りまわっているのだろうか。でも、それもやがてはうまくいくにちがいない。(46頁2行目) (オ)マイケルとジョニーが新しいバターを見つけ、たらふく食べているのではないかと思うこともあった。自分も森に出かけ、新鮮なバターを見つけられたらどんなにいいだろう。そのときの自分が目に見えるようだった。(46頁5行目) (カ)新しいバターを見つけて味わっている自分を想像するにつけ、ミケは、なんとしてもここを離れなければという気になった。 「出かけよう!」ふいに、彼は叫んだ。(46頁7行目) したがって、上記の限度では、債務者書籍は本件著作物を翻案したものということができる。 ク G探索 債権者らが指摘する、残された者がすぐに飛び出すのではなく周りを探し求めるということ、その作業を何日も繰り返すこと、最後にはその無意味さにようやく気づくということ自体は、原著作物に由来するものであって、本件著作物において新たに付与された創作的部分に当たらないから、これにつき著作権侵害は成立しない。 他方、この場面を構成する具体的な表現のうち、少なくとも「ホーは、勤勉に働いても成果があがるとは限らないことがわかってきた。」(36頁8行目)という部分は本件著作物による創作的な表現部分であると認められる。そして、債務者書籍のこれに対応する表現部分である「ミケは、ただがむしゃらに動きまわっても成果があがるとはかぎらないことがわかった。」(48頁10行目)という部分は、本件著作物の上記表現部分に類似し、かつ本件著作物の表現上の本質的な特徴を直接感得することができるものと認められる。 したがって、この限度では債務者書籍は本件著作物を翻案したものということができる。 ケ H第3部に相当する「話の後の集まり」の場面設定 債権者らが指摘する、語り手が物語を話し終わると、周りで聴いていた者たちの表情が和らぎ、微笑んでいたという設定、後で話をしようという提案に多くの者が賛成し、その場は散会したという設定自体は、原著作物に由来するものであって、本件著作物において新たに付与された創作的部分に当たらないから、これにつき著作権侵害は成立しない。 また、この章における本件著作物の具体的な表現と債務者書籍の表現を対比した場合に、創作性のある表現部分につき類似性は認められないから、著作権の侵害は成立しない。 (3) そして、上記(2)の翻案が認められる表現部分の中には、表現が全く同一のものや登場人物の名前ないしチーズかバターかが違うだけでその他の表現が同じ部分が少なからず存在すること、債務者書籍中には「最近、世界中の人が感動した一冊の本があります。ここに、その話に似ているようで、よく読むと、まったく異なる一つの物語があります。」(表紙の扉部分)、「なにやら似たような話が世の中に出まわっておると聞いて、」(7頁6行目)といった本件著作物の存在を意識した記載があること(疎甲2の1)からすれば、債務者書籍が本件著作物に依拠していることは明らかである。 したがって、以上を総合すると、債務者書籍は、上記(2)で挙げた具体的な表現部分において、債権者甲の本件著作物についての著作権(翻案権)を侵害するものと認められる。 3 争点(3)(パロディーとして許される表現行為といえるか)について (1) 一般に、先行する著作物の表現形式を真似て、その内容を風刺したり、おもしろおかしく批評することが、文学作品の形式の一つであるパロディーとして確立している。パロディーは、もとになる著作物の内容を踏まえて、これを批判等するものであるから、もとになる著作物を離れては成立し得ないものであり、内容的にも読者をしてもとになる著作物の思想感情を想起させるものである。しかし、パロディーという表現形式が文学において許されているといっても、そこには自ずから限界があり、パロディーの表現によりもとの著作物についての著作権を侵害することは許されないというべきである。 (2) これを本件についてみるに、本件著作物と債務者書籍のそれぞれの内容を比べると、本件著作物は、仕事や生活の場で変化に直面したときに、変化に素早く適応し、従来のやり方には固執せず、進んで自分自身を変えなければ、事態は好転しないと説く内容であるのに対して、債務者書籍は、変化で失ったものに代わる何かを追い求め、必死に前進しなければという焦燥感から自分を見失うことの無意味さを訴え、何となく感じる日常の幸せを大事にしようと説く内容であることが認められる(疎甲1の1、2の1)。 以上によれば、債務者書籍は本件著作物を前提にして、その説くところを批判し、風刺するものであって、債務者らの主張するとおりパロディーであると認められるが、前記2でみたとおり、債務者書籍は、本件著作物とテーマを共通にし、あるいはそのアンチテーゼとしてのテーマを有するという点を超えて債権者甲の本件著作物についての具体的な記述をそのままあるいはささいな変更を加えて引き写した記述を少なからず含むものであって、表現として許される限界を超えるものである。 (3) 債務者らは、憲法で保障されている表現の自由の一つの行使態様として債務者らが債務者書籍を出版することは許される旨主張する。しかし、表現の自由といえども公共の福祉との関係、本件でいえば他者の著作権との関係での制約を免れることはできず、しかも債務者らとしては債権者甲の著作権を侵害することなく本件著作物の内容を風刺、批判する著作物を著作することもできたのであるから、上記のように解したとしても不当にパロディーの表現をする自由を制限するものではない。債務者らの主張は理由がない。 4 争点(4)(出版権の侵害)について 出版権者は、著作権者との間の契約で定めるところにより、頒布の目的をもって、その出版権の目的である著作物を原作のまま印刷その他の機械的又は化学的方法により文書又は図画として複製する権利を専有する(著作権法80条)。 本件において、前記1で認定したとおり、債権者扶桑社は債権者甲との間の契約により本件著作物の出版権を取得したが、その内容は本件著作物を原作のまま印刷し文書として複製するというものである。 他方、債務者道出版の出版に係る債務者書籍は、前記2で認定したとおり本件著作物を翻案した部分を含むものであるが、本件著作物の複製物でないことは明らかである(疎甲1の1、2の1)。 したがって、債権者扶桑社の出版権侵害を理由とする申立ては、理由がない。 5 争点(5)(編集著作権の侵害)について 編集著作物といえるためには、当該著作物が素材の選択又は配列によって創作性を有するものであることが必要である(著作権法12条1項)。 本件で、債権者扶桑社が編集著作権の侵害として主張する内容のうち、表紙の装丁編集については、外国の書籍を翻訳した出版物に一般的にみられるもので創作性は認められない。イラストの配色、書籍の大きさについても本件著作物に特有のものではなく、創作性は認められない(なお、イラスト自体は創作性の認められる著作物に当たるが、その内容は編集著作権の対象となるものではないし、また、債務者書籍のイラストが本件著作物のイラストに類似するとも認められない。)。さらに、その他外形的に類似するという点についても、編集著作物としての創作性を認めることはできない。 したがって、債権者扶桑社の編集著作権の侵害を理由とする申立ては、理由がない。 6 争点(6)(保全の必要性)について 前記第2の1(3)の事実及び審尋の全趣旨によれば、債務者書籍は日本全国で販売されており、しかも多くの書店では本件著作物と並べて展示されていることが認められる。そして、本件仮処分手続において、債務者らが著作権侵害の事実を争っていることに照らすと、本案訴訟の提起及びその確定を待っていては、債権者甲に回復し難い損害が生ずるおそれがあるものと認められるから、保全の必要性はこれを肯定するべきである。 7 債務者乙に対する申立てについて 疎明資料及び審尋の全趣旨によっても、債務者乙について、債務者書籍の発行者の欄に氏名が記載されていること以外に、債務者道出版の代表者としての立場を超えて、個人として同債務者による債務者書籍の出版に関与したことをうかがわせるに足る疎明はない。 したがって、債権者甲の債務者乙に対する申立ては、理由がない。 8 まとめ 以上によれば、本件の各申立てのうち、債権者甲の債務者道出版に対する債務者書籍の販売等の差止めを求める申立ては理由があるが(債務者書籍の廃棄を求める申立てについては保全の必要性が認められない。)、債権者甲の債務者乙に対する申立て及び債権者扶桑社の申立ては理由がない。 よって、債権者甲に金1200万円の担保を立てさせて、主文のとおり決定する。 平成13年12月19日 東京地方裁判所民事第46部 裁判官 和久田道雄 |
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